考える脳 考えるコンピューター
専門書の紹介だけしていても支払いの日が永遠に来なさそうな感じなので、ちょっと違う感じの本も紹介してみたい。といっても、ニューラルネットワークの話なんだけど…。
Palm社とHandspring社を作ったJeff Hawkinsは、今はnumentaという会社を作ってHierarchical Temporal Memoryというパターン認識のアルゴリズムとそれを実装したソフトウェアを開発している。そのJeff Hawkinsがnumentaを作る前に書いたのが「考える脳 考えるコンピューター」という本。原題はOn Intelligenceというらしい。ずいぶんとシンプルですね。
この本には、Jeff Hawkinsの半生とか、彼が脳科学とかを勉強した成果などについて書いてある。しかし、Jeff Hawkinsの半生に関する描写はそれほど多くないので、そこら辺に興味がある人にはあまりお勧めできない。
大半の記述は具体的に脳がどうなっているか、そこから著者は何が大事であると考えているのか、といった事に割かれている。脳科学というのはまったく勉強したことが無かったので、具体的な脳の話の部分が一番面白かった。機械学習をやってて脳の事を勉強したことが無い(けど脳に興味がある)人がとっかかりとして読むには、とてもよい本なのではないかと思う。
書いてある中で印象に残ったのは、「予測することが脳のもっとも重要な機能である」「大脳新皮質は6層に分かれている」という2点。6層とかそういう数字が印象的だったという訳ではなく、脳の構造がそこまで具体的に解明されているという事を、不勉強ながら知らなかったので。予測することが脳のもっとも重要な機能なのかどうかも、本当のところはまだわからないけれど、面白い仮説であることは確かだろう。
当たり前だけど、仕事や研究にすぐに役だつというタイプの本ではない。だけど、もうちょっと違う分野も勉強してみたいな、と思わせてくれる良著だった。
- 作者: ジェフ・ホーキンス,サンドラ・ブレイクスリー,伊藤文英
- 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
- 発売日: 2005/03/24
- メディア: 単行本
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