関数プログラミング

 研究室においてあったので読んでみた。まじめな本であるということを考えると、文章が面白すぎる。いくつか面白いところを引用してみる。
 「自然数上のいわゆる計算可能な関数は、上のように再帰的に定義することができる。しかし、そのようなことはいくらでもできるし、実際にやってみてもあまり楽しくないし、読む方はもっと楽しくないので、もうやらない」(4.2節 自然数上の関数)
 「(リストの表記として)Prolog風の表記を用いることにする。ただし、後の章でLispの説明に入ったとき、Lisp風の表記を用いることによって読者を混乱の淵に陥れることになるだろう」(5.1節 自然数のリスト)
 「なお、「カリー」というのは人の名前で、カレーライスとは直接の関係はない」(6.3節 カリー化)
 funnyなところばかりとりあげてしまったが、初学者のための配慮も多々見受けられる。例えば、値呼びや名前呼びといった簡約戦略の説明の後にチャーチ・ロッサーの定理の説明がある事で、定理のありがたみがよくわかるように工夫されている。また、全体的に説明は冗長で、他の本を参照しないと理解できないような部分は見受けられない。
 その分、内容的に高度なところまではあまり踏み込んでいない。その点に関しては前書きでも触れられており、参考図書としてR.バード, P.ワドラー共著の「関数プログラミング」などが挙げられている。

関数プログラミング (情報数学セミナー)

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