真のCAPTCHAとはspam filterであり、Googleはspam filterを無料でバラ撒くようになるだろう

 タイトルがよく分からないことになってしまっているが、順を追って説明させて欲しい。
 最近、GmailCAPTCHAが破られている事が話題になっている。どのような手法が用いられているのか分からない(人力かもしれないよね)が、ともかくCAPTCHAが破られている。
 そもそも、なぜGmailCAPTCHAをつけているかというと、スパマーを防ぐためだ。スパマーは無料で使えるGmailのアカウントを取得してスパムを大量に送信することで、金銭を得る事ができる。だけど、一つのアカウントからスパムを送っていると発見されてアカウントを停止されてしまう確率が上がるし、停止を喰らったときに収入を絶たれてしまうので、大量のアカウントを取得する訳だね。逆に、このような行為はGoogleとしては許しがたいので、CAPTCHAをつけてスパマーのアカウント大量取得を防ごうとしている。
 さて、ではGoogleGmailのアカウントの大量取得を防げるのだろうか。これは非常に難しい。CAPTCHAは人間が読み取れて機械は読み取れないようなものでなければならないが、画像認識技術は年々上昇しているし、人件費の安い国に外注すれば、1メールアカウントで稼げる金額よりも安い金額でアカウントを取得させる事も可能かもしれない。人間が使えてしまうようであればもはやGoogleにはスパマーと普通のユーザを区別する手段がなくなってしまう。もとからGoogleが不利な勝負をしているのである。
 スパマーの側に視点を戻そう。問題なのは、1メールアカウントで稼げる金額と、1メールアカウントを取得するために必要な金額である。スパマーは儲けるためにアカウウントの大量取得を行っているので、アカウント1つあたりで稼げる金額よりも取得コストが大きくなってしまえば、アカウントの取得を止めるだろう。
 アカウントの取得コストは年々下がってゆき、Googleにはそれをコントロールする手段はない。とすると、Googleが取り得る対策としては、1メールアカウントで稼げる金額を下げることしかないわけだ。そして、そのためにはいろんなユーザ、ISPに高性能なスパムフィルタをバラ撒いて、とにかくユーザがスパムに引っかかる可能性を下げるのが、一番手っ取り早いというわけ。
 その他にGmailからスパムっぽいメールを送信する事を機械的に禁止する、という手もあるけれど。この2つ以外の手段でスパマーの儲けを減らすアイデアというのは、ちょっと考えただけでは思いつかなかった。
 ここまで読んだ人はおそらく気づかれたと思うが、spam filterをバラ撒く可能性があるのはGoogleだけではない。スパムがなくなる事で得する企業なら、どこでもそのようなバラ撒きを実行する可能性がある。それはYahoo!かもしれないし、Microsoftかもしれない。