遺伝的アルゴリズムの使用は敗北である

 学生時代、同じ専攻にいたある教官は、遺伝的アルゴリズムを利用した研究を嫌っていた。別に理由のないことではなく、遺伝的アルゴリズムはどんな問題でもだいたいそこそこうまくこなすが、出た結果をそこからさらに改善する方法がなく、オリジナリティを発揮する余地がないので、ある特定の問題を解くのであれば、もっと違う解法を探すべきである、という話だった。
 まったくその通りだと思って、それから私は、遺伝的アルゴリズムを使ってなんたらかんたらという論文はあまり読まないことにした。もちろん、遺伝的アルゴリズム自体を研究するのであれば、話はこの範疇に収まらないのだと思う。また、実問題を解く際に遺伝的アルゴリズムを使うのは、まったく非難されるべきではなく、むしろ推奨される事だろう。
 ところで、MCMCの「うまく行き方」というのは、遺伝的アルゴリズムのそれと何か似てるような気がするんだけど、気のせいだろうか。理論的な保証の有無とか、違うところも多いとは思うんだけど。「なんだかうまくいく」というあたりが、どうも似ているような。両方とも、強力過ぎるのかな。
(追記):この伝で行くなら、遺伝的アルゴリズムに限らず機械学習を使って何か問題を解く、という研究はあまり価値がないよね、ということになりそうな気もする。しかし、そこのところを深く考え出すとなんだか自分の研究の否定につながるかもしれなくて怖いので、今のところあまり深く考えてはいない。