古くて新しいエディタ、Emacs

 技術評論社さんからEmacs実践入門を献本いただきました。たぶん数日前に届いてたんだけど、しばらく郵便受け見てなかった…。表紙
 私が書いた日本語入力を支える技術と同じWEB+DB PRESS plusシリーズということで献本頂いたのだと思いますが、レビューしとけよという無言のアレを感じる気もするので、時宜を外さないうちにレビューを書いておきます。
 本書に寄せてって何それ羨ましい!自分も書いてもらえば良かった! というのが最初に出てくる感想なわけですが、それはさておき。
 Emacs実践入門は入門の名の通り、Emacsの使い方を説明する本です。基本的なキーバインドから便利なツールまで一通り説明している感じです。EmacsといえばEmacs Lispでガシガシと自分なりに拡張していけるところがメリットであり、同時にそれは初心者からすると何それ怖いと思わされる点でもあるわけですが、自分でelispを書くようなハードな話は出てこないので、初心者でも問題なく最後まで読み通せると思います。
 私はEmacsが最強のエディタだと思っているわけでは特に無いのですが、私にとっては手放せないエディタであることは事実です。仕事でプログラムを書くときにはEmacsを使いますし、本を書いているときにもEmacsを使っていました。そんな私にとって、Emacsについての新しい書籍が出るというのはうれしい話です。まだEmacsを使っていていいんだ、と認められた気分です。
 Emacsは初心者にとってやさしいエディタではないのですが、便利なコマンドを10個か20個ぐらい覚えると急に便利になってきて、「まぁこれでいいか…」という気分になってきます。そしてそのうちmigemoみたいに便利なelispに出会い、「なんかいつのまにかEmacsが便利な体になってしまった…」という気分になってくる。私にとってはそういう位置づけにいるエディタです。
 この本が3月に出たというのは意図があって、きっと4月に新入社員が世にあふれて、研修でEmacsとかいうのを使わされるんだけど不便で敵わん、と思ってるような人を取り込もう、というような目論見があるのだと思います。実際、この本を読むべき人はそういう人でしょう。Emacs使って10年という人が読んではいけないわけではない(実際、10年使ってる人は却って最近のパッケージシステムの話とかは知らなかったりしそうです)ですが、どちらかというと今Emacsに不便を感じていて、でも便利に使いたい人がパッと買って便利な使い方を覚える、そういう読み方が似合う本のように思います。エディタの効率は開発の効率に直結しているので、これからEmacsを覚えるつもりならば、買ってもすぐに元は取れるでしょう。

 おまけ。この本に載ってなかった機能やelispでおすすめしておきたいのはmigemoとiswitchb-modeとdmacroぐらいでしょうか。こちらも便利ですので、興味があったら検索して調べてみて下さい。